夏のチベット再訪7

5日目(2017/7/26)
ラサ→ダムジュン→ランチェン・ラ

まだ薄暗いなか、下に降りてガイドさんを待つ。珍しく時間に遅れている。外に出て写真を撮ったりなんかしているとガイドさんが到着した。乗り合いタクシーで来たら、同乗者の目的地であるポタラ宮までぐるりと回られてしまったらしい。茶館へ向かうと鍵がかかっていたが、ノックをすると開けてくれた。久しぶりのトゥクパ。ラーメンと違いやや粉っぽい堅めの麺とスープ、付け合わせに大根の漬物が美味しい。これにチャガモでとても暖まる。夏とは言え、朝晩は肌寒いのだ。
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ダムジュンまでは青蔵鉄道に乗るので、四角い街並みを抜けてラサ駅へ向かう。いつものドライバーさんは、ダムジュンで私たちを乗せるために、一足先に出発したという。なので車は個人タクシー、スマホアプリで予約したそうだ。来たのは真っ赤なセダンのマニュアル車で、ガイドさんもちょっと驚いていた。車窓からやたら広い道路と人の気配のない高層マンションを見上げながら、そういえば初めてのチベットはラサ駅に到着したんだったと思い出す。立ち並ぶ高層マンションにはまだ誰も住んでおらず、お化けビルと呼ばれているらしい。とりあえず箱物だけドカドカ建てていくというやり方ができるのも土地の所有権を国が握っているからだろう。代々受け継がれたチベット民族の土地でさえ。絶対に理解も共感もあり得ないと思っていた自爆テロの衝動をほんの少し、ほんの少ーーーーしだけ分かってしまった気がした。この四角い建物を軒並み壊したい。ゴジラのあのぶっといしっぽが欲しい。

まるで飛行機に乗るかのようなセキュリーチェックを経て、満員の待合室に入る。駅のホームへは決まった時間にだけ誘導されるらしく、ホームを人が自由に行き交うなどと言う光景を見ることは無い。時間になり、指定席のはずだけど周りは競うように車両へ向かう。それぞれの車両の乗車口に列が出来て、しばらくしたところで扉が開いた。チケットを見せて乗り込む。
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向かいには小さな男の子が座っていた。おじいちゃんの隣の席だけど、1つ空けて向こうの席にいるおばあちゃんが大好きなようで、隣(他の人の席)に座りたがっている。おじいちゃんと、おばあちゃんの隣の席の人が何事かで呼ばれ、席を離れた隙に男の子はおばあちゃんの隣の席に座った。指定席のはずだけど、人のいない席にはいろいろ人が移ってくる。おじいちゃんが戻ってこず、空席になっていた目の前の席にも人が座った。男の子はおばあちゃんの隣に移ったままである。本来その席に座る男性が戻ってきたけれど、男の子がちゃっかり座っていて、周りも男の子を説得するも動かず、近辺に空いている席も無いのを見て、男性はふらりとどこかへ歩いて行った。
眠そうなおばあちゃんに絡む男の子を、ガイドさんがスマホのゲームに誘う。すっかり懐いたものの、お菓子をあげようとするとまた恥ずかしがって食べようとしない。もらった飴を、ものすごく隠れて口に入れようとする。2つ一緒に食べたみたい。ガイドさんにほっぺを触られてチェックされていた。味混ざっちゃって美味しくなさそうだと心配したが、特に気にしていないようだった。
することもなく、眠くなったので少し目を閉じる。ふと目を開けたら、先ほどの男性が戻ってきていた。男の子に半分膝に乗られ背もたれにされた状態で、特に嫌がる素振りも見せず、まるで兄弟のように狭い座席に納まっている。そうなったか、と確認し、また少し目を閉じる。
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ダムジュンに到着して、ホームに降りる。他に降りた人達はあっという間に駅舎の中へ消えていった。母の向かいに座っていた今風の青年も、綺麗にラッピングされたプレゼントらしきものを抱えてすぐにいなくなった。私たちは改札で許可証やパスポートを確認される。とはいえのんびりしたものだ。日本人か、そうかそうかと見送られ、駅の外に出るともう既に誰もいなかった。一足先に到着していた車に乗り込み、ナムツォを目指して出発する。駅から少し離れると小さな街の中心で、街角に、さっきの今風の青年がスマホ片手に立っていた。お迎えが来るのだろうか。街の端で、高速の乗口のようなチェックポイントを抜ける。この、夜には電飾が目にうるさそうなゲートは、以前ダムジュンでキャンプをしたときに遠目に見えていたゲートではないか。夜でもビカビカしていて星空観察に邪魔だった。そういえばあの時もナムツォに行ったのだから、ここを通ったはずだけど、もっとあっさり通過した気がする。余り記憶にない。
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ゲートを過ぎ、しばらくは高い山に挟まれた起伏の少ない道を進む。標高が高くなるにつれて、生きる糧は農作物から牧畜に変わっていく。車窓から見える範囲でも、畑が減り、放牧される家畜を見かけることが増えてくる。緑の草を食むヤクの姿が見えてくる。谷間(といっても3000mは越えている)からつづら折りの道をぐいぐいと上り、先ほど走り抜けてきた小さな集落と黄色い菜の花畑を見下ろし、そのうちそれらが見えなくなり、幾つかの峠を越えて、また平らな場所へ出る。あれだけ上ってきたのに、またどこまでも続く平らな場所に出る。黄緑色の薄い絨毯に覆われた、起伏のある広い場所。遮るものもなく、そのまま影が落ちている雲がとても低く見え、すぐに手が届きそうに感じるが広すぎて遠近感がおかしくなっているだけだ。
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by mmiya2008 | 2017-09-14 22:00 | Tibet