6日目(12/30)
空港でお出迎え(女神ツアーに合流)、ドルマ・ラカン、バルコル、アニ・ツァングン
ラサ泊早朝まだ暗い中、ガイドさんが迎えに来た。ロビーを出ると年季の入ったバスが待っていた。そういえば、チベットでバスに乗るのは初めてだ。乗り込んで『女神ツアー』の皆さんを迎えに空港へ向かう。夏に出来たばかりだという高速道路を走る。料金は無料だし、空港まで掛かる時間が短縮されたそうだが、ラサで初めての高速道路、高速道路というものがどういうものかを皆が理解するまで大変だったそうだ(逆走やら、路肩に入り込む人がいたりとか)。混んでいることもなく、順調に走っていたが遠目にブレーキランプが光るのが見えた。何台かの車が徐行しているようだ。乗っていたバスも速度を落として近づいていくと、大きな黒い固まりが横たわっているのが見えた。一台の車がヤクと衝突したようだ。他にも何頭かのヤクが歩いている。放牧されているヤクが入ってきてしまったのだろう。
広いバスにはドライバーさんとガイドさんと私の3人だけ。暖房もなく、まだ夜が明けていないため日射しもない。極寒である。足先の感覚がなくなってきたね、とガイドさんと一緒に足踏みしてみるも、残念ながらあまり効果はない。すっかり凍えた頃、高速道路が終わり空港近くの町に着いた。ひとまずここで腹ごしらえである。前回の最後に寄った食堂で朝ご飯だ。相変わらず、ここのヤクサンドと春雨スープは美味しい。近くの商店で、お客さんを迎える際のカタも調達して準備万端である。
空港建物から少し離れた駐車場の出入り口で待機する。他にも沢山のガイドやドライバーが待機していた。ようやく日射しが出てきて暖かい。

待ちくたびれて、道の窪みに石を投げ込むなどという遊びをし始めた頃、ようやくお客さんが出てきた。ガイドさん達が一斉に仕事モードに切り替わる。どこら辺にいれば良いのかよくわからずにウロウロしていると、見たことのあるお顔を見つけた。ガイドさんが来日した時にお会いした方である。初日から何時間も巡礼路を歩くハードなツアーだそうだ。「今回は、合宿です。」チベットで合宿って。ディープだ。ディープすぎる。
これからご一緒する皆さんの後について、バスまで移動する。ガイドさんが一人ひとりにカタを掛けて迎えていく。ついでに私にも掛けてくれた。バスに乗り込み出発する。ガイドさんが自己紹介やら説明やらをしているのを聞いていて、2年半前に初めて会った時を思い出した。やー、ガイドさんだねぇ、と思いながら改めてフムフムと聞く。
女神ツアーでは到着早々、ドルマ・ラカンを参拝する。前日にシャーマンに占っていただいた際に、ドルマのお経を唱えなさいと言われた。お経を唱えるのは無理だけど、タイミング良くドルマ・ラカンを参拝することが出来て良かった。アティーシャが晩年を過ごした場所とあって、彫りが深めでシュッとしているインド系のお顔をした仏像が散見される。到着早々のお寺見学である。急な階段の上り下りもあり、クラリと来てしまった方がいたので、外でちょっと休むことにした。順応しまくっている私は一緒に日向ぼっこをしてぬくぬくである。中庭を覗くと、食事の準備だろうか、僧侶が野菜を切っているのが見えた。ガイドさんが少し話したのだろう、一人の僧侶がこちらでお湯でも飲んで休みなさいと、僧侶たちが食事をする部屋へ招いてくださった。何ともない私たちにも、一人ひとりに丁寧に白湯を注いだお椀を渡してくださる。なぜだろう、とても口当たりが柔らかくておいしい。温かい白湯と、優しい僧侶の笑顔に身も心もほっこりした。クラリと来てしまった方は辛かっただろうが、おかげでありがたい体験が出来た。







昼食はシャンパラホテルのレストランで中華料理。円卓を皆で囲む。急に人数が増えてとてもツアーっぽい。中華は大人数で食べるに限る。ラサから合流ということでちょっとドキドキしていたが、落ち着いた良い雰囲気の皆さんである。よかった。食べていると先生がやってきた。高所での注意事項などを説明してくれる。そして久しぶりに見るパルスオキシメーター。エベレストBCへ行った時以来である。先生が順番に計っていく。最後に私の番、と指を出すと「え、計る?」って、先生。
食事を終えて、バルコルを歩きに行く。そういえばまだジョカンの写真を撮っていなかった。やっぱりここは外せない。バルコルは巡礼者でとても混み合っていて、添乗員見習いとして(笑)何となく最後尾を守りながら歩くも、誰がどこにいるのかすぐに見えなくなる。先頭を行くガイドさんを目で追いながら、両脇に立ち並ぶいろいろなお店に捕まりながら歩く。明るい色のコートを着た背の高いガイドさんは見つけやすくて助かるが、今日お会いしたばかりの皆さんはお名前がわからず呼び掛けることが出来ない・・・。バルコルの途中でホテル方面に向かって脇道に逸れた。しばらく歩いていて、一人足りないことに気がついた。ガイドさんを呼び止めて伝えると、「ここで待っていて下さい。」とすぐに探しに行ってくれる。近くにあった小さなお寺の写真を撮ったりしながら待っていると、無事に見つかったようで二人で戻ってきた。脇道に逸れたところを通り過ぎてしまったようだ。先生から配られていた、迷子時用のものすごく簡略化された地図を警察官に見せ、本来ならホテル近くの新聞社を指し示すべき所をジョカンを指差して訴えていたそうだ。ジョカンはここだし、しかも地図には『ジョカン』とカタカナで書いてあるので警官が読めるわけもない(笑)。ガイドさんが見つけてくれて本当に良かった。




揃ったところで、バルコルに程近いアニ・ツァングンを参拝する。細い路地をふいっと入って行った所にあって、門をくぐるとすぐ右手には茶館があり、奥には黄色い建物が並んでいた。あまり広くない敷地に密集している感じだが、明るい雰囲気である。本堂を一通り解説してもらいながら見学して外に出たところで、「ここは中の写真を撮っても良いので、撮りたい方はどうぞ」とガイドさんが言うので、ウキウキ中へ戻る。新しくなったカメラの一番の違いは、暗い場所でもきれいに撮れるというところ。バターランプの灯りが美しいのだ。隣の建物の一室では、マニ車に入れるお経を尼僧がくるくると巻いていた。
ホテルへ戻る途中、バルコル散策中にクラリと来てしまい先生に連れられて休んでいた方と合流する。実は私も、風邪を引いてしまったせいもあるのかラサへの道中、首元を抜けて後頭部からこめかみへ這い上がるような頭痛に見舞われた。他の皆さんは全然平気なのか、凄いなぁ、と思っていたけれど、後から聞いたら何人かの方はやはりずっと頭痛が続いていたそうだ。海抜の高さ、極度の乾燥状態、強い紫外線。やはり過酷な環境なのである。



ホテルに戻り夕食までひと休み。私は疲れていないので、ガイドさんとホテル近くの涼粉屋さんで時間を潰す。人気のあるお店らしく、道端に出された席まで全て埋まっている。車に乗ってわざわざ食べに来るそうだ。特にチベタン女性に人気がある涼粉。ガイドさんもあっという間に平らげている。辛子が増量されたガイドさんの涼粉は美味しかったけれど激辛で、甘茶がなかったので代わりに頼んでいたホットミルクに救われる。
夕食は簡単なものが良いでしょうと、ラーメンを食べに行く。麺の量がとても多いので軽くはないが、スープがあっさりしていて美味しいのだ。昼食からあまり時間が経っておらず、直前にホットミルクなど飲んでしまっていたので殆ど食べられなかったけれど。
他のツアーメンバーの方と、今までの旅の話などをする。やはりチベットに来ちゃうような方々とは、旅先の趣向が似ているようだ。行ったことのある場所、行ってみたい場所がすごい重なる。風の団体ツアーの楽しいところである。

ホテルで解散し、ガイドさんが言う。「今日はどうする?」なんと、今晩も私のわがままに付き合ってくれるつもりらしい。昨日とは違うお店にしよう、とガイドさんの旦那さんがお友達と一緒にいるところへお邪魔する。チベット人が経営している場所らしく、幾つも部屋があってとても広い。ガイドさんの旦那さんとお友達は、なにやら台に向かい合ってゲームをやっている。ビリヤードとおはじきを混ぜたようなゲームで、四隅に穴が空いている専用の台の上で、クロとシロの丸く平たい破片をお互いに指で弾いて穴に落としていく。先に自分の色を全て穴に落とした方が勝ちである。滑り止めだか滑るようにだか、白い粉を手に付け台に撒く。今はゲーム専用の粉があるらしいが、昔はツァンパを使っていたらしい。旦那さんはあまり上手くないようだ(笑)。上手な人がいて、難しい角度からでも穴にポンポン落としていくのは見ていて面白かった。
チベットではお酒は先に何本かまとめて購入し、テーブルに並べて飲んでいく。こちらの人にはバドワイザーが人気な様だ。十本単位で瓶を並べて飲んでいる。旦那さん達もバドワイザーを飲んでいた。私も勧められ、少し飲む。まわりは皆チベット人である。チベット人の店に漢人が来ることはなく、漢人の店にチベット人が行くこともないという。飲む場所は決して混ざらないようだ。